白い花

「澄み通っているような顔をしていながら、
彼女はどこか捨鉢らしい素振りをする。
目をつぶって、人生の海にぽかりと
身を浮かべているような。
流れるままに流れようというような。
これが彼女を艶めかしくしている。
[…]
彼女は幼い頃から自分の死を見ている。
だから、時を信じない。
時の連続を信じない。」
(著 川端康成 
『掌の小説』p52-53/『白い花』より)