「サユリ1号(1)」_Posted at 14:04

※ネタバレレビューです。

ナオヤにとって
都合の悪いことが起こったとき、
すべてを受け止めてくれる
妄想上のオ○ペット、それがサユリだ。
まさに「彼女」はナオヤにとって
「僕が僕のために取り寄せた特別なパーツ」
からなるSex-Friendなのだ。

これは私個人としての意見だが、
世の男どもは「おんなのこ」へ
「本質的」に
母性と少女性と娼婦性を求めている
と思っている。
ナオヤは
まるで代弁してくれているかのように
こう言う。
「(サユリは)
毎回毎回そのつど処女。
処女なのに天性のテクニシャン。
それでいて恥じらいは忘れない。」
見事に3つ当てはまっている。
気持ち悪いかもしれないけど、
私の気持ちを言ってくれているようで
とてもうれしい。
ただ、「本質的」な意味での話であり
それは所詮オ○ペットとしての
理想の姿に過ぎない。
気持ちは非常にわかるけどナオヤは
幻想と現実との棲み分けができていない。
だからサユリにそっくりなユキが
目の前に現れたとき、
架空の存在としてのそれへの意識とが
交錯しはじめナオヤは混乱し始めたのだ。


幼馴染のチコとの関係も
ユキとの出会いを
きっかけにしてゆがみ始める。
そのことにも注目したい。
大学まで一緒にいたことは
別離を一切経験していないことになる。
異性として意識し得なかったチコは
共感というよりも
「背中の皮がはりついてしまって」
いるようにきっとナオヤと
お互いの体を共有してしまっていたのだろう。
「自立」することが「孤独」とは
まったく異なること。
理解できても消化できている人は少ないよね…。



結局のところ、
三沢に指摘された彼女は
その夜処女を捨て
「軌道修正」に成功するのだが、
ナオヤとのコントラストが
はっきり描かれていて面白く読めた。