「ロリータ」_Posted at 04:47 | 本・映画

※ネタバレです。注意!

いわゆる
ロリコン」の語源になった作品。

早い話が、
これは
中年男が下宿先の未亡人の娘に一目惚れして
倒錯した恋愛感情を抱いてしまったが故の
悲劇を描いている映画だ。

発展途上の肉体と小賢しさ(悪賢さ)を
兼ね備えた思春期の少女を
好む男性が少ないのは時代と国境を超えているようで、
叶いもしない夢(幻想?妄想?)にかけて
儚くも散ってゆく男性は少なくないなぁと
感慨深く観た。

映画だけでなく映像メディアは
製作者サイドの誘導に従って
感情移入するような工夫が為されるが、
このときが
わざとらしさを感じさせるようだと
観客の集中力を欠かせてしまう。
だが、この「ロリータ」では
うまく逆手にとっていたように思える。

ハンバートがロリータに夢中だが、
シャーロットはハンバートに夢中である状況を
互いの露骨な表現によって交錯する愛を描いているし、
ロリータが結婚/妊娠したシーンでは
ハンバートと彼女の時間経過(3年)が
全く感じられなくて
借りてきた衣装を着るような
ぎこちなさが際立っている。
この2点に代表されるように
極めて恣意的な演出が
この映画を
博士の異常な愛情」とは違った
パンチの効いた
一種の風刺劇にしていると思う。


観た後、
自分が父親になるのに
ちょっと気が引ける…
のは私だけではないはず。