本・映画
20年近くも昔に刊行されたされたはずなのに、 (当時の)彼女の恋愛思想は今尚色あせない。 バブルという 好景気に狂乱した時代にあっても 柴門ふみって 良識というか 普遍的なかっこよさの持ち主だったんですね。 冷静に/徹底的に/ 客観的に/論理的に/ 恋愛…
逃げれば逃げるほど追いかけてくる。 追えば追うほど逃げていく。何の因果か。[本]人の短篇集 (角川文庫)作者: 原田宗典出版社/メーカー: 角川書店発売日: 1999/12メディア: 文庫 クリック: 9回この商品を含むブログ (10件) を見るぼくの心をなおしてくださ…
「ぼくは近い将来のことを話すのが、 怖かった。 あまり上出来と言えない今の現実は、 仕方がないものとして 何とか受け止めていたが、 来年の現実については、 怖くて、考えるのも嫌だった。」 (p16) 「起点と終点は明らかなのに、 その間をつなぐ過程が想…
「若いとき、 売れている先輩に口すっぱく説教された。 『命がけでお笑いをやれ! 真剣に取り組めば、必ずいい結果はでるからな!』 と。だけど僕は、真面目に受け取ってなかった。 勝ち組のあなたは、そう言えるでしょうって。 頑張ったからって売れる世界…
「(作品のために 構想のメモを取ることは) 欠かせない執筆儀式の一部なのかもしれない。 なにかいい案はないかと 机にむかって考えている時、 この文字を書く。 すると、 潤滑油のような作用をおこし、 進展がみられる。」 (p244)本書は 没になって 世に出…
レナード・コーエン。ロックスター、詩人、アナーキスト、 ボヘミアンでありながら、 麻薬を常習し 日々敬虔な禅の修業を積むユダヤ教信者。「完全なるアウトサイダー」という 表現だけでは 全貌を掴めない彼の姿。 半生を辿れば辿るほど 「実体」から離れて…
「どこにもない」と銘打たれた短編集。「どこにもない」と言いながら、 実際「どこにでもありそう」なものって 溢れているのと同じで、 ストーリーのネタ自体 いつかどこかで出会ったことのある読後感。 一見したところ 「どこにもない」感じがしない。 ―短…
「(彼にとってこれらの随筆が) 最後のまとまった随筆となった」(p134)とある通り 朝日新聞に連載された 夏目漱石晩年の随筆集。「この二三年来 私は大抵年に一度位の割で病気をする。」(p63) 漱石自身、 自分の死がすぐそこまで迫ってきているのを 悟っ…
文芸誌「きらら」上に掲載された 携帯メール小説を収録した一冊。どの作品も 500〜1000字で 現代版ショートショートと 言ってもよいだろう。 掲載されている作品は なかなか骨のあるものが多く 粗悪とされている いわゆる「ケータイ」小説とは 一線を画して…
荒俣宏と並んで 気になっている知識人に 神足裕司がいる。「禿頭で黒縁のメガネと蝶ネクタイが トレードマーク」の彼から 辛口の意見を 穏やかな口調で語られるのを アクセス(現在は降板)時代から注目しとりました。 百年に一度と言われる不況、 我々はか…
日航機墜落事故の報道を 巡って奔走した とある新聞記者の半生を辿った映画。 (日航機墜落事故に関しては 墜落遺体や墜落現場に詳しい。)主人公が 日航機事故報道の指揮権を持つ 全権デスクを任されるのだが、 記事を巡る縄張り争いや きなくさいコネクシ…
もうおっさんなのだろうか?最近歌いたい 新譜にめぐりあうことが めっきり減ってしまって 悲しい限り。 それは 音楽的についていけないというより、 歌いたい歌詞がないという 致命的理由による。 ぼく(おれ)-きみ(あなた)の 簡潔な関係性だけで、 われ…
スペイン内戦後 フランコ政権下のスペインが舞台。 実在する世界観と フィクショナルなファンタジーが 同居する不思議な映画。 モノトーンな実世界と 色彩豊かな幻想的世界を 幾度も横断するうちに 悲劇に巻き込まれる少女。本来は 受け容れがたい現実から逃…
「ピーコさんと話していると、 いわゆるゲイの人たちと会話するのとは また違う感じがするんですよね」 (p36 糸井)この本を手に取ったのは ピーコがゲイだったから 興味を持ったのではない。 「わたしは、 男でもなければ、女でもないの。 ただ、わ・た・…
ファッションファッショ(p102)で 「かつて 日本は『陰影礼讃』の国であったのだが… 皆さん、谷崎は読んでくださいね。[…] 今の日本って、 下手に『日本文化を』とか言えないのよ」と 山田詠美氏に強く推された手前、 読まずにいられるかーってなことで購入…
ピーコと山田詠美による 「お洒落弾圧対談」を収めた一冊。 いみじくも 橋本治が 「恋愛結婚できる人間は進んでいるし、 恋愛結婚できない人間は遅れている― もう、ほとんどこれは流行のファッションと同じ。 それ着れないでいるのは恥ずかしい、 それ着てる…
ジャケ買いならぬタイトル買い。 この著者のことを よく知らんかったため、 読み進めていくと 著者がホモセクシャルであると カミングアウトされ 面食らっちゃいました。 でも ヘテロセクシャルな私も 感化される内容満載でしたよ。 恋愛未経験者は それに付…
『墜落遺体』の続編。前作から数年経って 再び取材を試みた著者。その瓦礫や残骸の中から 彼に見えた 事故の傷跡は 「人間の愛憎とは何だ。絆とは何なのだ。」(p44) という新たな問いを生んだ。無論 事故が壊した絆は 甚大なものであるが、 私は かすかに認…
日航機墜落事故で 遺体確認の指揮を執った 警察官の手記。 「520人の身体が、 2065体となって検屍され」(P59)るほどの 真夏に起きた未曾有の事故であった。 40度にも達する体育館の中で 「遺体の検屍、 確認作業[…]を徹宵で行った」(P36) 彼が目の当たりに…
今まで足を運んだ 落語会は 真打さんのが 数回であるのに比べると 二つ目さんは30〜40回。二つ目さんの噺で気になるのは やっぱり枕。 「自分の名前と顔を覚えて下さい」とか 「笑いは健康によい」とか 「今は落語ブーム」とか 大概このパターンに集約されて…
実際に 彼が口演で披露した 「枕」を起こした一冊。落語でいう「枕」というのは ネタに入る前に イントロダクションとして 話される話である。 ライブの曲間のMCに近い。 先日放送された番組※でも クローズアップされていたが、 小三治の場合 予めネタを決…
私にとって そのものはAではない。 かといって その対義である (A以外の) Bであることも疑わしい。そのものはそのものでしかなく そのものはいったい何であるのかは わからないままである。以下のように 谷川俊太郎の詩は このパターンが多くみられる。…
役割が明確化され 各キャラクターが 稼働移動しつづける立方体の中で 繰り広げ密室劇。 登場人物の素性も 「犯人」もろくに明かされない。 そんな中 女性精神科医ハロウェイの発言 「水食料なしでいられるのは数日」と 警察官クエンティンの 「職業」上の正…
感想。 面白かった。 主役の中井貴一は もとより岸辺一徳、笹野高史など 本格的な演技が常に期待されている ベテラン勢が しっかり脇を固め安定感のある演技をしているし、 「ザコキャラ」悪代官 久六を演じる 蛭子能収※1と 「大ボス」三馬政 演じる 竹内力…
谷川俊太郎。 彼の名を知らない、 あるいは彼の詩を読んだことのない人は (潜在的には)いないのではないかというくらい、 国内唯一無二の詩人である。実際 詩集を手にとって 感銘を受けたのは詩ではなかった。 予想に反して。 それは 1956年 ユリイカに掲…
いやぁ 久しぶりに面白い映画を観た。 文句のつけようのないくらい。サスペンス・スリラーには 毎回無用なラブシーンが 付き物なのだけれども、 一切なくて映画本編に集中できる。タイトルの通り、 圏外/カメラ機能など 携帯電話の特徴を うまく使ったストー…
飯沢耕太郎との対談によって 浮かび上がる アラーキーこと荒木径惟の半生。 (ほぼ)自伝と言い切っていい一冊。 「海外では荒木の一部作品において、 女性をモノのように扱っているのではないかと 議論を呼ぶことがある。※1」(wikipediaより) このような言…
何の変哲もない片田舎。 どこにでもあるありふれた町並み。 そこで起こるのは 世界を揺るがすに とても足りない ちいさなちいさな事件。例えば 『楽園への小道』『銀の小瓶』は そんなことを思わせる小品だ。 毎日 メディアが センセーショナルに賑わしてい…
「アビイ・ロードの伝説」と聞くと、 ビートルズを連想する方は少なくない。 けれども その伝説が生まれた場に注目する人間は 決して多くはない。もちろん 彼等の逸話も盛り込まれているけれど、 エンジニアを始めとするスタッフ (アラン・パーソンズ!!)…
『日本人の生き方』を読んで思ったこと、 それは宗教や信仰についてだ。 「悪は、絶対に許してはならないという、 ひじょうにきびしく単純な倫理観が、 現在のヨーロッパ、 特に歴史の浅いアメリカ社会を強く支配している」(p53) 「アメリカでは、 ピューリ…