本・映画

恋愛論

20年近くも昔に刊行されたされたはずなのに、 (当時の)彼女の恋愛思想は今尚色あせない。 バブルという 好景気に狂乱した時代にあっても 柴門ふみって 良識というか 普遍的なかっこよさの持ち主だったんですね。 冷静に/徹底的に/ 客観的に/論理的に/ 恋愛…

因果_Posted at 22:24 

逃げれば逃げるほど追いかけてくる。 追えば追うほど逃げていく。何の因果か。[本]人の短篇集 (角川文庫)作者: 原田宗典出版社/メーカー: 角川書店発売日: 1999/12メディア: 文庫 クリック: 9回この商品を含むブログ (10件) を見るぼくの心をなおしてくださ…

『新人だった!』_Posted at 20:01

「ぼくは近い将来のことを話すのが、 怖かった。 あまり上出来と言えない今の現実は、 仕方がないものとして 何とか受け止めていたが、 来年の現実については、 怖くて、考えるのも嫌だった。」 (p16) 「起点と終点は明らかなのに、 その間をつなぐ過程が想…

『敗者復活』_Posted at 22:13

「若いとき、 売れている先輩に口すっぱく説教された。 『命がけでお笑いをやれ! 真剣に取り組めば、必ずいい結果はでるからな!』 と。だけど僕は、真面目に受け取ってなかった。 勝ち組のあなたは、そう言えるでしょうって。 頑張ったからって売れる世界…

『できそこない博物館』_Posted at 22:14  

「(作品のために 構想のメモを取ることは) 欠かせない執筆儀式の一部なのかもしれない。 なにかいい案はないかと 机にむかって考えている時、 この文字を書く。 すると、 潤滑油のような作用をおこし、 進展がみられる。」 (p244)本書は 没になって 世に出…

『レナード・コーエン伝』_Posted at 10:55

レナード・コーエン。ロックスター、詩人、アナーキスト、 ボヘミアンでありながら、 麻薬を常習し 日々敬虔な禅の修業を積むユダヤ教信者。「完全なるアウトサイダー」という 表現だけでは 全貌を掴めない彼の姿。 半生を辿れば辿るほど 「実体」から離れて…

『どこにもない短編集』

「どこにもない」と銘打たれた短編集。「どこにもない」と言いながら、 実際「どこにでもありそう」なものって 溢れているのと同じで、 ストーリーのネタ自体 いつかどこかで出会ったことのある読後感。 一見したところ 「どこにもない」感じがしない。 ―短…

『硝子戸の中』_Posted at 22:40

「(彼にとってこれらの随筆が) 最後のまとまった随筆となった」(p134)とある通り 朝日新聞に連載された 夏目漱石晩年の随筆集。「この二三年来 私は大抵年に一度位の割で病気をする。」(p63) 漱石自身、 自分の死がすぐそこまで迫ってきているのを 悟っ…

『携帯メール小説』_Posted at 07:58

文芸誌「きらら」上に掲載された 携帯メール小説を収録した一冊。どの作品も 500〜1000字で 現代版ショートショートと 言ってもよいだろう。 掲載されている作品は なかなか骨のあるものが多く 粗悪とされている いわゆる「ケータイ」小説とは 一線を画して…

『空気の読み方』_Posted at 08:01

荒俣宏と並んで 気になっている知識人に 神足裕司がいる。「禿頭で黒縁のメガネと蝶ネクタイが トレードマーク」の彼から 辛口の意見を 穏やかな口調で語られるのを アクセス(現在は降板)時代から注目しとりました。 百年に一度と言われる不況、 我々はか…

『クライマーズ・ハイ』_Posted at 22:38

日航機墜落事故の報道を 巡って奔走した とある新聞記者の半生を辿った映画。 (日航機墜落事故に関しては 墜落遺体や墜落現場に詳しい。)主人公が 日航機事故報道の指揮権を持つ 全権デスクを任されるのだが、 記事を巡る縄張り争いや きなくさいコネクシ…

『ショートショートの世界』_Posted at 18:22

もうおっさんなのだろうか?最近歌いたい 新譜にめぐりあうことが めっきり減ってしまって 悲しい限り。 それは 音楽的についていけないというより、 歌いたい歌詞がないという 致命的理由による。 ぼく(おれ)-きみ(あなた)の 簡潔な関係性だけで、 われ…

『パンズ・ラビリンス』_Posted at 02:45

スペイン内戦後 フランコ政権下のスペインが舞台。 実在する世界観と フィクショナルなファンタジーが 同居する不思議な映画。 モノトーンな実世界と 色彩豊かな幻想的世界を 幾度も横断するうちに 悲劇に巻き込まれる少女。本来は 受け容れがたい現実から逃…

『ピーコ伝』_Posted at 00:52

「ピーコさんと話していると、 いわゆるゲイの人たちと会話するのとは また違う感じがするんですよね」 (p36 糸井)この本を手に取ったのは ピーコがゲイだったから 興味を持ったのではない。 「わたしは、 男でもなければ、女でもないの。 ただ、わ・た・…

『陰翳礼讃』_Posted at 13:07

ファッションファッショ(p102)で 「かつて 日本は『陰影礼讃』の国であったのだが… 皆さん、谷崎は読んでくださいね。[…] 今の日本って、 下手に『日本文化を』とか言えないのよ」と 山田詠美氏に強く推された手前、 読まずにいられるかーってなことで購入…

『ファッション ファッショ』_Posted at 03:18

ピーコと山田詠美による 「お洒落弾圧対談」を収めた一冊。 いみじくも 橋本治が 「恋愛結婚できる人間は進んでいるし、 恋愛結婚できない人間は遅れている― もう、ほとんどこれは流行のファッションと同じ。 それ着れないでいるのは恥ずかしい、 それ着てる…

『恋愛論』_Posted at 01:03

ジャケ買いならぬタイトル買い。 この著者のことを よく知らんかったため、 読み進めていくと 著者がホモセクシャルであると カミングアウトされ 面食らっちゃいました。 でも ヘテロセクシャルな私も 感化される内容満載でしたよ。 恋愛未経験者は それに付…

『墜落現場』_Posted at 14:57

『墜落遺体』の続編。前作から数年経って 再び取材を試みた著者。その瓦礫や残骸の中から 彼に見えた 事故の傷跡は 「人間の愛憎とは何だ。絆とは何なのだ。」(p44) という新たな問いを生んだ。無論 事故が壊した絆は 甚大なものであるが、 私は かすかに認…

『墜落遺体』_Posted at 00:02

日航機墜落事故で 遺体確認の指揮を執った 警察官の手記。 「520人の身体が、 2065体となって検屍され」(P59)るほどの 真夏に起きた未曾有の事故であった。 40度にも達する体育館の中で 「遺体の検屍、 確認作業[…]を徹宵で行った」(P36) 彼が目の当たりに…

『もひとつ ま・く・ら』_Posted at 23:10

今まで足を運んだ 落語会は 真打さんのが 数回であるのに比べると 二つ目さんは30〜40回。二つ目さんの噺で気になるのは やっぱり枕。 「自分の名前と顔を覚えて下さい」とか 「笑いは健康によい」とか 「今は落語ブーム」とか 大概このパターンに集約されて…

『ま・く・ら』_Posted at 22:32

実際に 彼が口演で披露した 「枕」を起こした一冊。落語でいう「枕」というのは ネタに入る前に イントロダクションとして 話される話である。 ライブの曲間のMCに近い。 先日放送された番組※でも クローズアップされていたが、 小三治の場合 予めネタを決…

『続・谷川俊太郎詩集』_Posted at 16:59

私にとって そのものはAではない。 かといって その対義である (A以外の) Bであることも疑わしい。そのものはそのものでしかなく そのものはいったい何であるのかは わからないままである。以下のように 谷川俊太郎の詩は このパターンが多くみられる。…

『Cube』_Posted at 12:00

役割が明確化され 各キャラクターが 稼働移動しつづける立方体の中で 繰り広げ密室劇。 登場人物の素性も 「犯人」もろくに明かされない。 そんな中 女性精神科医ハロウェイの発言 「水食料なしでいられるのは数日」と 警察官クエンティンの 「職業」上の正…

『次郎長三国志』-レビュー編-_Posted at 00:48

感想。 面白かった。 主役の中井貴一は もとより岸辺一徳、笹野高史など 本格的な演技が常に期待されている ベテラン勢が しっかり脇を固め安定感のある演技をしているし、 「ザコキャラ」悪代官 久六を演じる 蛭子能収※1と 「大ボス」三馬政 演じる 竹内力…

『谷川俊太郎詩集』_Posted at 22:21

谷川俊太郎。 彼の名を知らない、 あるいは彼の詩を読んだことのない人は (潜在的には)いないのではないかというくらい、 国内唯一無二の詩人である。実際 詩集を手にとって 感銘を受けたのは詩ではなかった。 予想に反して。 それは 1956年 ユリイカに掲…

『セルラー』_Posted at 08:28

いやぁ 久しぶりに面白い映画を観た。 文句のつけようのないくらい。サスペンス・スリラーには 毎回無用なラブシーンが 付き物なのだけれども、 一切なくて映画本編に集中できる。タイトルの通り、 圏外/カメラ機能など 携帯電話の特徴を うまく使ったストー…

『天才になる!』_Posted at 10:18

飯沢耕太郎との対談によって 浮かび上がる アラーキーこと荒木径惟の半生。 (ほぼ)自伝と言い切っていい一冊。 「海外では荒木の一部作品において、 女性をモノのように扱っているのではないかと 議論を呼ぶことがある。※1」(wikipediaより) このような言…

『カポーティー短編集』_Posted at 00:07

何の変哲もない片田舎。 どこにでもあるありふれた町並み。 そこで起こるのは 世界を揺るがすに とても足りない ちいさなちいさな事件。例えば 『楽園への小道』『銀の小瓶』は そんなことを思わせる小品だ。 毎日 メディアが センセーショナルに賑わしてい…

『アビイ・ロードの伝説』_Posted at 09:08

「アビイ・ロードの伝説」と聞くと、 ビートルズを連想する方は少なくない。 けれども その伝説が生まれた場に注目する人間は 決して多くはない。もちろん 彼等の逸話も盛り込まれているけれど、 エンジニアを始めとするスタッフ (アラン・パーソンズ!!)…

『日本人の生き方』_Posted at 01:07 |

『日本人の生き方』を読んで思ったこと、 それは宗教や信仰についてだ。 「悪は、絶対に許してはならないという、 ひじょうにきびしく単純な倫理観が、 現在のヨーロッパ、 特に歴史の浅いアメリカ社会を強く支配している」(p53) 「アメリカでは、 ピューリ…