『次郎長三国志』-レビュー編-_Posted at 00:48
感想。
面白かった。
主役の中井貴一は
もとより岸辺一徳、笹野高史など
本格的な演技が常に期待されている
ベテラン勢が
しっかり脇を固め安定感のある演技をしているし、
「ザコキャラ」悪代官 久六を演じる 蛭子能収※1と
「大ボス」三馬政 演じる 竹内力など
イロモノ(?)班も活躍していた。
泣かせるところ、笑いを取るところ、
メリハリがはっきりついていて
観客を置き去りにするなく最後まで楽しめた。
- 以下この映画を観ての考察-
この映画の主人公は
かつては
老若男女の中に共通した
物語として存在したであろう
清水次郎長である。
浪曲や浪花節、落語などの中に登場する
ある年齢層以上の方々にとって
お馴染みの人物の一人である。
今彼のような人物を挙げよと言われたとき、
そして
ここでも言及しているように
個々人の結びつきを助ける
共通した「物語」が
今あるとしたらそれはいったい何なのか?
即答するのは極めて難しいのではないか。
上の言及とは間逆の主張になってしまうが、
「私たちにとっての『国民』の物語が」欠損してしまったために
「日本社会に浸透する均質」性は
「明治から」のそれと「今日」からのそれとは
まったく異質なものになってしまい
辛うじて表面上だけ確保され
すっかり幻想じみたものになってしまったと考える。
(「」内引用は
『<声>の国民国家・日本』p242より)