『家族』_Posted at 16:39

長崎の伊王島から
開拓事業に転職するため
北海道の中標津まで移住する家族を
描いた作品。

伊王島からフェリー
長崎から広島・大阪・東京・青森まで
国鉄に乗り
青函連絡船で北海道に渡り
標津線中標津…と、
車窓からの風景と
それを覗く家族とを結びつけながら
物語が進行していく。
彼らの前に開けている車窓は
決して前途洋洋ではない。
様々な犠牲を払いながら
目的地を目指して
土地を転々とする家族の姿は
まさに現代版フロンティアであり、
その点において
山田洋次はかなり
現実的な演出を施している。


この『家族』は
「1970年の日本」の姿も描いている。
経済成長を支えるため
過剰な稼動を続ける工業都市
広島福山。
日本の繁栄を誇張するかのような
大阪万博
人々が
厳しい環境の中自然と共存しようと
日々苦心しているであろう姿が見える
伊王島中標津
本作品は
古き日本を振り返る
ロードムービーとしても
楽しめるのではないか。
(388)