『どこから行っても遠い町』_Posted at 11:45

川上弘美著。
新潮社 yomyom vol.6 収録。

いわゆる不倫小説。

個人的な話になるが、
遅ればせながら20も半ばを回って
恋愛の「通過儀礼」を
一通り経験して感じたことは、
それらを経験したからといって
それが「なんぼのもん」じゃい!ってこと。

確かに未経験と
まがりなりとも1回経験したことがある
人間との間には三途の川ほどの差がある。
しかしながら、
1回から回数を重ねるに従って
比例するように
うまくやりすごせるようになるだろう。
しかし、
人として
信頼のおける存在に
なり得るかどうかは別なのだ。
と、なると「通過儀礼」も
極めて曖昧な行為になるのではないか。
『どこから行っても遠い街』は
そこをうまく突く。

「結婚、というものを現実に行ってみて」
「(結婚というものは、
予期していたのよりも、厄介なものだ)」
「(かんたんに
『〈(何の滞りもなく結婚することが ※筆者注〉
順当」』なんていえることは、
この世の中には、あんまりないらしい」

極めて不明瞭な表現や
タイトルの
『どこから行っても遠い』というフレーズは
つかみどころのない生活を連想させる。

てか、
主人公の感慨からは
結婚(生活)への嫌悪すら感じる。

「愛する、という言葉を、
なぜだかその時おれは使いたくなかった。」
「マイホーム、という言いかたは、
おれは好きじゃなかった。」


結婚ってそんなもんなんですかね・・・。
私はまだ「未体験」なんでわかりましぇんが。