『近代歌謡の軌跡』_Posted at 05:18
山川出版社。
日本史リブレット。
本書は
近代を黒船来航に定義して
それ以降の
歌謡曲(=流行歌)の趨勢を
駆け足で辿っていく。
近代以降に花開いた流行歌、
都都逸、演歌、軍歌、童謡、
和製ジャズは
当時の続々と生まれた
新聞・ラジオ・レコードなどの
新しいメディアと強固に結びつき
距離と時間を超え
人々の耳にどんどん伝播していった。
内政外政問わず
激動の時代の中
それらの歌詞が持つイデオロギーを
民衆や国家が利用したりされたりした。
中でも逢引や駈落ちを歌った
「東京行進曲」を巡る論争は
「流行歌のもつ卑俗さ」とは何か?
を示す例である。
移植された「純粋」な西洋音楽と
既存のお座敷歌を元に
徹底的に
エロ・グロ・ナンセンスを追求した
前衛的な音楽。
文学、その他にもいえることだが、
この時代が
文化上最も豊かな時代であったと思う。
百花繚乱か風紀紊乱かは
常に紙一重。