『「演歌」のススメ』_Posted at 07:57

この本で取り上げているのは
シンセサイザーによる
安直な編曲と単調に刻まれるリズムに乗って」
歌われる、
いわゆる
謡曲とのカテゴライズが
曖昧な現代演歌ではない。

藍川によれば、
演歌創世記の代表者
古賀政男
さまざまな民族音楽
バックボーンに、
複数の楽器をユニゾンで伴奏させ
何とも形容し難い
不思議な倍音をさせていたのだという。

日本人の自虐史観に基づく
音楽コンプレックスは、
上記のように
西洋の音楽の3要素
「リズム・メロディー・ハーモニー」のうち
ハーモニーが欠落していることによると、
藍川は指摘している。
実に鋭い指摘だ。


クラシックの声楽家でありながら
(この表現自体、多分に問題を孕んでいるが)、
古賀メロに着目し、
実際に自ら録音もしている藍川。
現存する資料が少ないため
疑念を持って
楽譜を考証することが難しく、
製作者の本意が何処にあるのか
彼女は彷徨う。

オリジナルに忠実な
演奏・録音がどんなに難しいか
本書から見えてくる。
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