『ザ・コーポレーション』_Posted at 10:06

今や国家よりも
強い権力を持っているのは
企業なのだという、
視点で作られたドキュメンタリーDVD。

リーダーの経営理念に
従順な部下を顎で使い、
消費者を情報操作・搾取し
国家と癒着
株主にのみ利益を還元し
富のためなら
反社会的な生産にも手を染める。
社会規範や法を
一切無視したその悪態ぶりは
資本主義が生み出した病理が
もう手に負えない段階に
進行していることを意味している。
しかも
終身雇用が
日本型雇用慣行でなくなったため
一瞬にして
首脳部が総入れ替えされることも珍しくなくなった。
結果として会社責任は潜在的に回避できるのだ。
そういう風に考えれば
現代の日本にも
無政府状態が認められるはずだ。



消費者が
物を買えさえすれば
理想の自分を実現できると
本気で思い込んでいる。
日常生活が
狂喜乱舞のカーニバル化されている昨今では、
私たちは企業のされるがままだと
認めないわけにはいかない。

労働者は同時に消費者であるだけに
企業だけを叩ける訳ではないのだが、
消費者の購買意欲が
企業の生命線である以上、
メディアを通じて
イメージを刷り込み
枯渇しないように煽り続ける
必要がある。
けれども最近の
CDやDVDなどの著作権侵害などを見るにつけ
企業の利益追求に反旗を翻す消費者行動が認められ
他分野に波及する可能性が潜在的に存在する気がする。
そうである以上
消費者は企業にとって
気まぐれで強大な戦闘能力を持っている
「眠れる獅子」であり
企業を一気に崩壊させる
驚異的な破壊力を持つ存在であることを
銘記しておく必要があるだろう。


ともかく
シニカルで救いようのない
バッドエンディングが、
要所要所で徹底的に配置されているところが
私の気に入り。
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